4月発売の弊社ブックレット制作協力商品


昭和の名作ライブラリー 44 平四郎危機一発 コレクターズDVD

<デジタルリマスター版>

 heishirou DVD
平四郎危機一発をAmazonで見る
 

2019年4月26()発売

発売元・ベストフィールド 販売元・TCエンタテインメント

 

 石坂浩二といえば令和元年現在は『相棒』シリーズの、成宮寛貴演じる甲斐享のお父君・甲斐峯秋や昼帯ドラマ『やすらぎの刻~道』の菊村栄役、ちょっと前までの『開運! なんでも鑑定団』(テレビ東京系)のMC(?)の印象が強いが、かつてはオシャレなアマチュア探偵役や、藤田まこと演じる中村主水と組んで仕留人という名の殺し屋・仕置人役を演じていたことなどを知る方々も年々減ってきている気がする。

 どちらの役も本人のパーソナリティーからさほどかけ離れたキャラクターでもないため“意外”ということはないが、“石坂浩二と派手目のアクション”というのはそう滅多にない組み合わせなので“珍品”扱いされ易いのは確かだろう。

 さて後者の『暗闇仕留人』(’74年)は地上波再放送、CS放送、そしてDVD-BOXも発売され比較的、視聴環境は容易になっている。或る意味、石坂のパーソナリティーをストレートにキャラクター化したともいえる幕末の仕留人・糸井貢という存在を通して“あまりにも早く生まれ過ぎたインテリ”が『必殺』ワールドにどのような化学変化をもたらしたかは百聞は一見にしかず、で、ぜひ! ご自身の目でお確かめ頂くとして……前者のオシャレでポップなアマチュア探偵・九条平四郎の活躍を描く、タイトルもズバリ! の『平四郎危機一発』なんである。後に『キイハンター』(’68年)、『アイフル大作戦』(’73年)、『バーディー大作戦』(’74年)、そして『G MEN’75』(’75年)と続き、新東宝出身にして『007(ダブル・オー・セブン)』シリーズの数少ない日本人出演者のひとりでもある丹波哲郎を、一躍“土曜夜9時の男”に仕立てたTBS系毎週土曜夜9時放送の1時間ドラマの幕開けは、じつは石坂浩二が告げたのだ。こちらは白黒作品ということもあり、永年、地上波での再放送もなく、ようやく2000年代に入ってからCSテレビ局数局で約30数年ぶりにオンエアされたのみでDVD化もされずにやや幻の逸品の仲間入りをしていたが、このたび晴れて初ソフト化がかない、且つ解説書の編集と執筆を担当させて頂ける運びとなったことは何物にも代え難き悦びだった。本作について衆目のみなさんにお伝えしたきことは、今回発売元のベストフィールド さんにわがままを言ってかなりボリューミーにして頂いた解説書に結構書いたものの、これほどの幻の作品ともなるとやはり書き足りぬことは少なからず残されている。

 その中で一番訴えたかったのは、さりげなく挿入される特撮カットの素晴らしさ、である。生まれて初めて本作第1話のエンディングを観て驚いたのは「特撮 築地米三郎」のクレジットだ。築地といえば第1作目の『大怪獣ガメラ』(’65年)をはじめ旧大映特撮を支えた名特撮マン。その彼が大映を辞し、独立して手懸けた2番目(1番目は『(九重佑三子の)コメットさん』[’67年]で、本作より3か月スタートが早かった)の大仕事が『平四郎危機一発』の特撮だった。第1話の死体をぶら下げて飛ぶ気球の飛行シーンに始まり、第2話での漁船の爆破シーンのミニチュア特撮。きわめつけは第6話で、平四郎を助手席に乗せたリサが運転する車が何者かにブレーキを壊され、山岳ハイウェイをノンストップで爆走して下るシーン(何故かエンディングでは築地の名前はノンクレジット)。車のミニチュアと山道のミニチュアで表現されたそれはモノクロの画面とあいまって不思議な臨場感と迫力を以て観るものに迫ってくる。もちろん合間に挿入される、ブルーバックと運転席のセットを駆使して撮影された、平四郎とリサ(大川栄子がとにかくキュート!)のリアクションあってのものだが、同時期オンエアの『ウルトラセブン』(’67年)に登場する、ウルトラ警備隊のスペシャルカー・ポインターのミニチュア特撮シーンと比較しても全く引けを取らない。リアリズムを追求する“旧大映特撮”の底力を立証している名シーンなので、本編同様このDVDでしかとお見届け頂きたい。

 昨今は特撮というと =(イコール)スーパーヒーローかロボット、せいぜい巨大怪獣ものを指すようになってしまったが、本来はこのようにドラマ部分を手助けするカットにこそ意義があるものではないだろうか? そういう意味で『平四郎危機一発』は一流の特撮ドラマである、と、声高に訴えておきたい。

 なお、本数的には過半数を超える宝田明編について全く触れられなかったが、それは『新 平四郎危機一発』のDVD-BOXがリリースされるタイミングにてまた改めて、ということで。

(文責・岩佐陽一)
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