2月発売の弊社ブックレット制作協力商品
甦るヒーローライブラリー 第32集 チャンピオン太 コレクターズDVD
<デジタルリマスター版>
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2019年2月22日(金)発売
発売元・ベストフィールド 販売元・TCエンタテインメント
『タイガーマスク』世代の私にとって『チャンピオン太』は朝日ソノラマ時代のヴィジュアルSF世代の雑誌......というフレーズも懐かしい、「宇宙船」の紹介記事や掲載スチールでしかお目にかかれぬ“伝説”の番組だった。
ご多聞に漏れずチャンピオン太(た)と読み、顔にド派手なトーテム・ポールペイントを施し、『北斗の拳』(’84年)や『マシンロボ ぶっちぎりバトルハッカーズ』(’87年)に登場する敵キャラもかくやというモヒカン・ヘッドを呈した“死神酋長”のスチールのキャプションに猪木寛至こと現・アントニオ猪木が演じていた旨書かれた一節を目にした瞬間「ウッソー!」と思ったものだ。
しかして原作者・梶原一騎先生も称賛した(?)そのジョーズ・ラインと不敵な眼光は紛れもなく猪木その人だった。爾来「み、観たい......!」と思いつつ早幾歳......。
世は多チャンネル時代、CS/ケーブルテレビ放送全盛期を迎え、ついに『チャンピオン太』も再び陽の目を見る刻が訪れる。
2001年、CSチャンネルのファミリー劇場にてネガの損壊が激しい第6話を除く全話が晴れて放送された。
だが全話DVD-BOX化までには至らず。
CS放送の同録のみが至宝の映像コレクションとなっていた。
平成最後の本年ようやく初のBOX化に至り、且つその封入解説書の構成・執筆を仰せつかる光栄を授かりなんとも感無量である。
原稿作成にあたり繰り返し本作を観直した次第だが、その流れで『タイガーマスク』も無性に観たくなり、全話ほぼ一気観してしまった。
もちろん同じ梶原一騎原作の兄弟・姉妹編的作品ということもあるが、何より『チャンピオン太』が『タイガーマスク』の偉大なる“原点”であるからに他ならない。
『タイガーマスク』から先に入った私が『太』を観ていると自然に『タイガー』が観たくなってしまうのである。
詳細は論より証拠で、DVDを購入してその目で確かめて欲しいのでここには書かない。
今回『タイガー』を観直したくなったもうひとつの理由に同作第30話「不滅の闘魂『力道山物語』」があった。
日本プロレス界の偉大なる始祖・力道山先生のドキュメンタリー・エピソードで、必殺技の体得に苦悩するタイガーが、恩師と仰ぐ嵐虎之介先生より力道山の生き様を聞かされ、必殺技のヒントを掴む......という内容。
力道の元名パートナーで、雌雄を決することになる木村政彦が、テレビアニメ化にあたり大村政次、力道の目標にして最大のライバルの鉄人ルー・テーズがルー・ケーズ(家電量販店か?)になっていたり。
何より嵐先生が力道を育てたことになっていたり(!)と、そのフィクションの味付けもなんとも微笑ましい。
ここで力道山の声を演じているのが声優・俳優の今西正男。
『太』で力道山の吹き替えを担当しているのも今西正男......と、断言したき処だが、残念ながらオフィシャルにそれはできない。
完成映像のオープニングにそのクレジットはないし、制作会社で権利元の国際放映の資料中にもその記録はない。
だが、“解説書職人”としての私の聴覚と脳内メモリは、確実に今西の名前を弾き出している。だからこそ無性に『力道山物語』が観たくなった訳だし、今西が『タイガー』以前に、しかも力道山本人の声の吹き替えを担当していた事実に比類なき感動を覚えてしまった訳だ。
個人の見解や“妄想”を発表できるこの“Blog”という場でなら書いても罪にはなるまいと思い、書かせて頂いた次第。なお、幻とされていた『太』第6話に登場した隻眼のレスラー・モンゴルの稲妻役も『宇宙猿人ゴリ』(’71年)の加賀(信吉)先輩や『ゴジラ対メカゴジラ』(’74年)のブラックホール第三惑星人のひとりを演じていた俳優・殺陣師の渡辺高光に違いないのだが、今西と同様の理由から解説書での明言は避けた次第。
何も大スターやアイドルばかりが俳優・役者ではない。こうして旧作・名作がDVD-BOX化、パッケージ化されたものを通じて、日本の映画・テレビドラマの発展と進歩に貢献した偉大な、“名もある”名優たちの偉業を後世に残し、伝えていくことも“解説書職人”の使命のひとつと心得を新たにする今日この頃、である。
(文責・岩佐陽一)